この思いを電波のエネルギーに乗せて届けたい…でも届けたい人は今どこにいるのか分からない。だから全周囲にエネルギーを放出するね。どこかでキャッチしてくれるかな・・・ここは障害のない広い世界。きっとわずかなエネルギーでも拾ってくれると信じてるよ…
障害物のない理想の空間「自由空間」
電波(電磁波)が飛ぶのに理想的な空間ってどんな空間だと思いますか?
なんの障害物もない空間だから、宇宙空間かな?


ほぼ真空状態かつ広大で障害物もほとんどないから、正解と言いたいですが、まったく障害物がないとも、宇宙空間に漂っている物質の影響がないとも言えません。例えば太陽の近くだったらその影響を受けますね。
理想の空間は現実世界には存在しないので、”全く障害のない空間”を作ってしまいましょう。これを自由空間と呼んでいます。仮想空間みたいですね。あくまでこれは理想上の空間です。宇宙空間は現実の空間ですね。
なぜ自由空間で考えるんですか?
計算がしやすいからです。電波を使って情報を伝える時に、障害物がない状態で理論上どこまで飛ぶかがまず知りたいですよね。
実際は、建物などの障害物やノイズ、天候の影響も考えられますがこれらすべての条件を正確に出すのは難しいですよね。
理想のアンテナ(等方性アンテナ(アイソトロピックアンテナ))
例えば、アンテナの周りにいる人全員に電波を届けるにはどんなふうに電波が飛んでいくといいでしょうか?
アンテナの周りぐるりと一周、まんべんなく電波が飛べばいいんじゃないですか? アンテナってそういうものじゃないの?
アンテナも色々種類があって、周囲にぐるりと電波を飛ばせるアンテナもあれば、特定の方向に強く電波を飛ばせるアンテナもあります。
先程の自由空間(理想上の空間)で、360°全周囲に電波を放出できるアンテナがあったらいいと思いませんか? このアンテナも現実にはありませんので、理想上のアンテナを作りましょう。
この電波を全ての方向に放射することができる点状のアンテナを等方性アンテナ(アイソトロピックアンテナ)と呼んでいます。


点状のアンテナから電波が放出されて、どんどん電波の球体が大きくなっていくイメージです。
理想の空間に理想のアンテナ。この2つを組み合わせると何がわかるんですか?
さて何がわかるでしょう。
電波は広がる分だけ弱まる?
電波が360°全周囲に飛んでいくとして・・・どこまで届くんですか?
自由空間で等方性アンテナから放出される電波は、点光源(電球のようなイメージ)から全方向に放射されます。波面は距離 dを半径とする球体として広がっていきます。
距離が遠くなるほど電波が弱くなります。これを自由空間伝搬損失と呼んでいます。
自由空間は障害物がないから、損失なんて発生しないんじゃ?
ちょっと難しいのですが、理想的な自由空間であれば、球体全体の表面を通過するエネルギーの総和はどこまで行っても変わりません。
半径がdの球の表面積は4πd2で表されます。距離が長くなるほど球体の面積が広がり、単位面積(1m2)あたりのエネルギー(電力密度)は距離の2乗に反比例して少なくなります。
まだよくわかんない…
小さくても大きくても表面のエネルギー量が変わらないボールがあります。奏さんはこのボールの触れた部分からエネルギーを吸収できますよ。小さなボールはドッジボールのサイズ、大きなボールは10mの巨大なボールです。うまくエネルギーを吸収してね。
・・・ドッジボールはすべてのエネルギーを吸収できると思うけど、10mのボールなんて触れられる場所が少ないから、ちょっとのエネルギーしか吸収できよないよね。ってそういうことか。
損失って言うと、エネルギー自体が減っているように思えるけど、自由空間内でのエネルギーの総量が減っているわけではないんですよね。現実的には受信アンテナの大きさ(面積)は有限ですから、広大な球面上に薄く広がったエネルギーのうち、自分の面積分しか捕まえることができないため、離れるほど「受け取れる量が減る=損失」という表現になっています。


自由空間は障害となるものがないから、理論上はどこまでも(無限に)電波が広がっていくことになるよね。でも実際に受け取れるエネルギーは距離が離れるほど(球体が大きくなるほど)少なくなる。イメージできたかな?


地球から見える太陽系以外の星達。その中で一番明るく光って見えるのは「シリウス」って星。シリウスは地球から8.3光年も離れた場所にある。光の速さで8.3年かかる距離。でも、もっと遠い星も地球から見える。広大な宇宙には、色々な星から放たれたメッセージが飛んでいるのかもね。






