対数のlog、真数、dB、無線工学ではあたりまえのように出てくるんだけど、資格の勉強で初めて見たときは何これ? って初めに拒否反応を示すものの一つだと思うんだよね。「log」は、対数を意味する英語「logarithm(ロガリズム)」ではdBは?
真数、対数(log)、常用対数、デシベル(dB)、dBmについて
無線や電気の世界では、dB(デシベル)という対数の表記がでてきます。今回はデシベルの計算をしてみます。まずは基本となる用語を覚えましょう。
真数
- 通常の計算で使っている「倍率」や「測定値」の数値 (例 : 10W)。
- 無線の分野では極端に大きい・小さい数値を扱うので、桁数が多くなりすぎて計算や表記が不便。
対数 (log)
- ある数を何乗したらその数(真数)になるか」を表す指標です。記号で logと書きます。
- 102 = 100の時、log10100 = 2(10を2乗すると100になるという意味(10が底の場合))。
- 対数を使うと、大きな桁数の掛け算・割り算を、シンプルな足し算・引き算に変えることができます。
$$x= log_{10} M ⇔ 10^x=M$$
xが対数、Mが真数、10が底になります。
常用対数(じょうようたいすう)
- 10を底(基準)とした対数 log10のことです。無線工学や電気工学で logと書かれている場合は、基本的にこの「常用対数」を指します。
- 桁数が1つ増える(10倍になる)ごとに、対数の値は「1」ずつ増えます。これにより真数では扱いづらい大きな桁数を小さな桁数(2桁程度)に収めることができます。
- 例) log1010 = 1、log10100 = 2、log101000 = 3、log1010000 = 4
デシベル(dB)
- 常用対数logを使って、2つの値の比率(真数)を表した無線や電気の世界の単位です。
- 電力の場合、常用対数log10の値に「10」を掛け算したものが、デシベル[dB]になります。(電圧の場合、「20」を掛け算したもの)
- 基準となる具体的な値が決まっていません。単に「何倍になったか(または何分の一になったか)」だけを示します。(相対値)
無線分野においては、アンテナや増幅器の利得(gain : ゲイン)、給電線の損失(loss : ロス)などで使用します。例えば増幅器(アンプ)では、入力された信号をどれだけ増幅できるかという能力(割合)が利得になります。
入力信号はいつも同じとは限りませんよね。入力信号を2倍にできるという相対値を表しています。
dBm(デービーエム)〈デシベルミリワット〉
- 「1mW(ミリワット)」を絶対的な基準 0[dBm]とした、電力を表す単位。
- dBmの「m」はミリワットを表します。
- 絶対値(具体的な電力の大きさ)を表します。
無線分野においては、送信電力、受信電力、感度などで使用します。例として送信電力は10W(40dBm)といった、絶対値になります。dB(相対値)としっかり区別しておきましょう。
手強そうですね。がんばって覚えます。
デシベルの計算
デシベル計算の公式
電力の場合
$$x\text{ [dBm]}= 10log_{10} M $$
電力の場合 (mW → dBm)、Mに真数◯mWを入れる
電圧の場合
$$x\text{ [dBV]}= 20log_{10} M $$
電圧の場合 (V → dBV)、Mに真数◯Vを入れる
デシベル計算のルール
$$x\text{ [dBm]}= 10log_{10} M_{1} ×M_{2} = 10log_{10} M_{1} + 10log_{10}M_{2}$$
logの真数の掛け算は足し算にできる
$$x\text{ [dBm]}= 10log_{10} M_{1} ÷M_{2} = 10log_{10} M_{1} – 10log_{10}M_{2}$$
logの真数の割り算は引き算にできる
$$x\text{ [dBm]}= 10log_{10} 10^A = 10×A×log_{10} 10$$
logの真数の10の乗数は前にだせる
試験では、logの値が明記されていることも多いですが、次は覚えておくとよいです。
- log101 = 0
- log102 = 0.3010 (サンオイル)
- log103 = 0.4771 (死なない)
- log107 = 0.8451 (はよ来い)
- log1010 = 1
実際にデシベルの計算をしてみよう


問題1 : 1mWをdBmに直せ
X = 10log101 = 0 [dBm]
→log101 = 0 です。
問題2 : 10WをdBmに直せ
10Wは10000mW → 104
X = 10log1010 4
→10の乗数の4は、前に出せる
X = 10×4 log1010 = 40 × 1 = 40[dBm]
問題3 : 20WをdBmに直せ
20Wは20000mW → 2×104
X = 10log102×10 4
X = 10log102 + 10log10104 = 10×0.3 + 10×4 log1010 = 3+40 = 43[dBm]
問題4 : 10W無線機にて、スプリアス2.5μW以下(66dBc以下)の点検基準がある。なぜ66dBcなのか?
2.5μWは 0.0025mW → 0.25×10-2
X = 10log10(1/4) × 10-2 : < 0.25 → 1/4 >
= 10log101 – 10log104 + 10log10 10-2 : <掛け算は足し算、割り算は引き算>
= 0 – (10log102 + 10log102) + (-2×10) : <log104は、log102+log102>
= – (10×0.3 + 10×0.3) – 20
= – (3 + 3) -20 = -26 dB
無線機出力 10W → 40dBm
差は、40dB – ( – 26dB ) = 66dB


毎回こんな計算するんですか!?
しませんよ。手計算はなかなか大変ですよね。関数電卓や、スマホの関数電卓アプリを使えば簡単ですが、試験では利用できませんので手計算になれることも必要です。
著者は、Panecalというスマホ関数電卓アプリを使っています。関数電卓で10log(0.0025)と打てば、-26と一発で出ます。
実際にdBmを使う場面ってあるんですか?
測定器の入力がdBm表示のものがあります。例えば、測定器の最大入力(定格)が30dBmだったとします。(これ以上の入力を入れると測定器が壊れます) さて、何Wまで入力できるでしょう?
さっきの計算でいくと・・1Wですね。
正解です。ですが、ギリギリは危険なので余裕をもつ必要があります。こんな場合は、無線機と測定器の間に減衰器(アッテネータ)を入れます。
このアッテネータが30dBだったら、1Wはどこまで減衰されるでしょう。
30dBm – 30dB = 0dBm なので1mWだと思います。
正解です。間違えると測定器を壊してしまうので、デシベル計算は重要ですよ。
あと、dBcってなんですか?
dBc のcは、carrier キャリア(搬送波)になります。スプリアスの測定で用いられ、搬送波のレベルを0(基準)とした相対値を表します。例えば無線機から出力された搬送波が10Wピッタリでなく9.5Wや11Wの場合もあるでしょう。規格が66dBc以下の場合、この搬送波の9.5Wや11Wに対して66dB以下の値であれば良いことになります。
電力は2倍で+3dB、半分で-3dB
先程は、手計算をしましたが無線機の測定に関して、dBmを出すのに暗算で済ますことのほうが多いです。
電力は2倍で+3dB、1/2で-3dB と覚えよう
30dBmが1Wは、覚えているとして、2Wは?
2Wは1Wの2倍なので+3dBで33dBmです。4Wは2Wの2倍なので、+3dBで36dBm、8Wも同様に計算すると39dBmになります。
5Wはどうでしょう。10Wが40dBm、5Wは10の半分(1/2)なので-3dBで37dBmです。
3W、6W、7W、9Wは出せないのですが、それ以外のW数なら±3dBだけで導きだせます。
こちらのほうが簡単ですね。


初めはちょっと拒否反応があったけど、計算していたら慣れてきたよ。使っているのは四則演算(+−×÷)だけだからね。私は計算できたよ。あなたはどうかな?








