一般家庭で使用されるケーブルは、電気用の電線VVF、LANケーブル、電話のコード程度でしょう。事務所、工場など規模が大きくなると、一般家庭では使われない様々な線も使用されます。今回は、電気通信工事で使用するFCPEVケーブルを紹介しましょう。
FCPEVケーブルの線番号と覚え方

表)FCPEV 20P
| 対番号 | 絶縁色 | 対番号 | 絶縁色 | ||
| 1 | 青(1a) | 白(1b) | 11 | 青(11a) | 黒(11b) |
| 2 | 黄(2a) | 白(2b) | 12 | 黄(12a) | 黒(12b) |
| 3 | 緑(3a) | 白(3b) | 13 | 緑(13a) | 黒(13b) |
| 4 | 赤(4a) | 白(4b) | 14 | 赤(14a) | 黒(14b) |
| 5 | 紫(5a) | 白(5b) | 15 | 紫(15a) | 黒(15b) |
| 6 | 青(6a) | 茶(6b) | 16 | 青(16a) | 灰(16b) |
| 7 | 黄(7a) | 茶(7b) | 17 | 黄(17a) | 灰(17b) |
| 8 | 緑(8a) | 茶(8b) | 18 | 緑(18a) | 灰(18b) |
| 9 | 赤(9a) | 茶(9b) | 19 | 赤(19a) | 灰(19b) |
| 10 | 紫(10a) | 茶(10b) | 20 | 紫(20a) | 灰(20b) |
芯線はペア線となっています。
FCPEV0.65-10Pであれば、0.65mmの導体径で、10ペアという意味です。
20Pであれば、20対で、計40本の線となります。
対番号の1から順に、1a,1b,2a,2bという呼び方もよく使用されます。
絶縁色の”白”、”茶”などは5P単位で共通色となっています。
1Pごとに、ツイストペア線にて撚り(より)があるため、判別が付く形となりますが、軽めの撚りであり、撚りをばらしてしまうと線の判別が付かなくなるため、注意が必要です。
ケーブルを繋ぐ時に、線をばらす必要があると思うんですけど、どうするんですか?
1P(ペア)ごとに細い線を用いて、ケーブル芯線をばらした時点で輪を作って判別がつくように分けておきます。細い線をクロスさせながら、輪になるように編み込んでいく形です。編み込む場所はケーブルの根元にする場合もありますし、接続箇所により適宜好ましい位置で編み込んでおきます。


そうしておけば、分からなくなることはないですね。ちなみに、それでも分からなくなってしまった場合はどうするんですか?
ケーブルを敷設した後の場合、対向(二手)に分かれて、片側の線をショートしてもらって、テスターを用いて線対称します。でもこんなことは行いたくないので、最初にしっかりと準備を行っておくことが大切ですね。
色順の覚え方ってあるんですか?
色順については、青、黄、緑、赤、紫
“せい”、”おう”、”りょく”、”せき”、”し” と覚えるのはいかがでしょうか。
ペア線は、白、茶、黒、灰
そのまま”しろ”、”ちゃ”、”くろ”、”はい”
20P以上の線は、メーカーによってペア線の色が異なる場合がありますので、都度メーカー仕様書にて確認しています。
FCPEVの使い分けについて
FCPEVには内部にシールド構造を持った線があります。もともとLANケーブルと同じツイストペア線の構造にて、ノイズには比較的強いとはいえますが、さらに対ノイズ性能が必要な場所ではこちらを使用します。
FCPEV (シールド無し)
- ノイズの影響が少ない一般的な制御回路や、比較的距離の短い信号線、警報・表示器の配線などに使用されます。
- 電磁誘導や静電誘導などの外来ノイズに対するシールド性能が必要ない、またはコストを抑えたい通常の配線環境に適しています。


FCPEV-S(アルミテープシールドタイプ)
- 外来の電界ノイズ対策を目的として使用されます。
- 工場内や計装機器周辺など、インバータや電源線からの静電誘導ノイズを受けやすい環境の信号線の引き回しに最適です。


FCPEV-S(Cu) (銅テープシールドタイプ)
- アルミテープシールドよりもさらにシールド効果を高めたい場合や、機械的強度・耐久性を考慮したテープシールドが必要な計装・通信回線に用いられます。(但し、アルミテープシールドより高価です)


FCPEV-SB (軟銅線編組シールドタイプ)
- テープシールドは鋭く曲げると破断(シールドが切れてしまう)のリスクやシールド特性低下の懸念があります。編組(SB)はケーブルが頻繁に動く場所や、引き回しや配管通線で柔軟性が求められる環境に適しています。


シールドはどう処理する?
- シールドはアース(接地)に落とさないと、本来の十分なシールド効果を発揮できません。(シールド層は外来の電磁ノイズをキャッチしますが、それをアース(グランド)へ逃がす経路(パス)がないと、シールド層自体が中途半端な電位を持ってしまい、内部の芯線に対して逆に影響を与えてしまうことがあります)
- シールドがアースに接続されていない浮いた状態は、シールドとしての機能が大幅に低下し、最悪の場合はアンテナのようにノイズを拾ってしまい逆効果になる可能性があります。
シールド接続は「片端接地(一端接地)」とし、ノイズ対策(静電誘導対策)として、一般的には制御盤など機器側のみをアースに落とすのが基本です。
ケーブルを敷設した両側でシールドを落とすとなぜいけないんですか?
両端を接地してしまうと、アース線とシールド層の間で「グランドループ(電位差による環状回路)」が形成されてしまい、かえって低周波のノイズ(商用電源のハムノイズなど”ブーン”というノイズ)を引き込む原因になり、逆効果になる可能性があります。
電位差がある所には電流が流れる、必要のない電流はノイズ源となります。
シールドはどのようにしてアースに接続するんですか?
シールドもしくはドレインワイヤにKQE等の線をはんだ付けして線を引き出してアース端子に接続することが多いです。編組の場合は、シールドそのものをまとめて(ねじって)チューブを被せて端子に接続することもありますね。はんだ付けの場合は、熱で内部の芯線の外皮を溶かすことのないよう、注意して作業する必要があります。
まとめ
ノイズがほとんどない環境(周囲に他の電線等ノイズ源もない)ではFCPEV、ノイズが気になる場合はFCPEV-S、FCPEV-S(Cu)、対ノイズ性能と柔軟性を両立したい場合はFCPEV-SB。
アルミか銅(Cu)かは、ノイズ環境、通線距離、信号の重要度により選択します。コスト的に許されればCuを使っておいたほうが高性能な分、無難とも言えます。そして、シールドはアースにしっかりと落としましょう。
導体サイズは0.65mm、0.9mm、1.2mmがあります。ケーブル敷設後にクローネ端子に接続するといった場合、0.65mmは接続できるけど、0.9mmは接続できない・・といったこともありますので、注意してください。
補足 : FCPEVとCPEVの違い
- FCPEV 着色識別ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル (構内通信回線など)
- CPEV 着色識別ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(電話回線など)
「F」は、主に耐燃性(Flame retardant)や自己消火性などの特性をもっていることを示しています。CPEVやFCPEVは構内の通信回線に使用されるケーブルにて、構内ケーブルという呼称もよく用いられます。
CPEVは耐燃性がないこと、線色の識別がしづらい(例として5Pの場合、青白・赤白・赤白・赤白・赤白)ことから、現在はFCPEVが良く使われています。昔に敷設された電話線、構内の通信線ではCPEVもよく見かけますね。
著者の体験談 : FCPEVのペアの撚りはLANケーブルのようにしっかりしていないため、適当にばらすと後でひどい目にあったり(あわされたりする)ことがあります。特に新人時代は注意しないと、ばらして整理したけど実際は間違っていたということが失敗談としてある会社も多いのではないでしょうか? シールドのはんだ付けを失敗しており、内部芯線の被覆が溶けていてシールドとショートしていたなんて経験もありました。その他、過去の業者が行ったCPEV等構内ケーブルの施工が正しいと過信してはいけません。なんでこの色順? なんでこんな繋ぎ? 接続端子表は? そんなの残ってないよ・・・。なんてこと普通にあります。装置的には動けばOKの世界かもしれませんが、施工者としては後の為にもしっかりとした施工を心がけたいものです。


施工時の情報は大切な情報だと思いますが、細かく残せば残すほどコスト(制作する人件費)がかかります。絶対必要な資料か、自己満足の資料かそこは迷う所かもしれません。私はなるべく自分自身のためにも情報を残して置こうと思う方ではありますが、資料が無いなら無いなりに誰かがなんとかして行く。世の中そんなものかもしれませんね。

