無線の測定では音声信号も扱う。平衡と不平衡を理解しよう。

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平衡(へいこう)とは、2つ以上のものの「釣り合い(バランス)」がとれいている状態で、「衡」という漢字には「はかり(天秤)」という意味があります。平衡(バランス)と不平衡(アンバランス)音声信号の伝送においてこれらはどういった違いがあるのでしょうか。

目次

アナログ音声信号の入出力。平衡、不平衡とは?

figure-balanced and unbalanced
ルウェルナ

平衡(へいこう)は、信号線に2線を用い、データを反転させて伝送します。相手側では、この信号同士の差分を出力する形になります。差分がないと出力されないので、2線に同じように乗ったノイズは差がないので出力されません。ですのでノイズに強いです。

ルウェルナ

音響機器同士では、3芯ケーブルを用いて接続します。通信機器同士の接続(例として放送装置と電話交換機)では、2芯ケーブルを用いてH,Cをケーブルで接続し、アースは繋がない場合もあります。この場合、直接ケーブルでアースEは接続しませんが、機器はそれぞれアースEが取れていると思ってください。

流々星 奏

アースが接続されていないとどうなるんですか?

ルウェルナ

アース(グランド)は信号のレベルの基準になります。アースの電位に差があると(例えば極端に片方の電位が高い)信号が正確に伝送できなくなります。ただし、通信機器はアースを取るのが基本となりますので、こういった問題はあまり起きづらいですね。

信号の基準となるアースをシグナルグランド : SG、機器の感電防止等の目的でとるアースをフレームグランド : FGとして使い分けている場合があります。(業務用の音響機器等)

ルウェルナ

不平衡(ふへいこう)は、ケーブルに乗ったノイズはそのまま出力されます。平衡に比べてノイズに弱いです。

ルウェルナ

大電流が流れる電源ケーブルや、電源機器の近くに音声ケーブルを近づけるとノイズが乗ることがあります。

ルウェルナ

音響機器同士では、2芯のケーブルを用いて接続します。不平衡で1芯のケーブルで接続ということはまず行いません。

平衡と不平衡の使い分け

長距離を伝送する場合はノイズを拾いやすくなるため、平衡接続を推奨。短距離ではノイズが少ない環境下であれば不平衡接続でも問題は起きづらい。

ルウェルナ

そもそも業務用の音響機器では平衡接続前提の機器が多いですね。

ルウェルナ

同一ラック内に収納した機器間の結線では、近距離の為、不平衡でも問題は起きづらいです。(ただし、ノイズが発生しそうな電源や電源ケーブルとは離隔を取る)

ルウェルナ

音声ケーブルを天井裏を這わして長距離伸ばすといった場合では不平衡の伝送ではノイズの問題が発生すると思ったほうが良いです。

流々星 奏

不平衡の機器で音声を長い距離伝送するにはどうするんですか?

ルウェルナ

不平衡を平衡に変換する機器(例としてイメージニクス社の製品)やトランスによる変換コネクタ(例としてTOMOCA社のマイク・ラインマッチングトランス)などを用います。

ルウェルナ

基本的に、送り受けで平衡同士、不平衡同士の接続が基本となります。平衡と不平衡の接続は注意が必要だと覚えておいてください。今回は詳しい説明は割愛しますが、特に電子バランスによる平衡は注意が必要です。間違うとショート状態になります。

音声信号の入出力でインピーダンスが異なるとどうなる?

ルウェルナ

以前の回で、インピーダンス・マッチングの簡易的な計算をしました。今回も行ってみましょう。

インピーダンスの違いでどこまで変わる?

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ルウェルナ

信号源とRSが音声出力側、Rinが音声入力側とイメージしてください。音声入力のインピーダンスが600Ω、100kΩの場合でどれだけVLに差がでるか計算してみましょう。

ルウェルナ

入力インピーダンス 600Ωの場合 VL = (600/(600+600)) ×Vo = 0.5 Vo

ルウェルナ

入力インピーダンス 100kΩの場合 VL = (100k/(600+100k)) ×Vo ≒ 0.99 Vo

ルウェルナ

入力電圧が電圧比で約2倍(6dB)の差が出来てしまいました。例として無線機のスピーカ出力のレベルを測定したいとしましょう。この場合、スピーカの出力インピーダンスが600ΩでAF Inputの(Audio Frequency)の入力インピーダンスが100kΩの場合、測定結果が意図する値より2倍(+6dB)大きい値が表示されてしまいます。

流々星 奏

どうすればいいんですか?

入力に抵抗を並列で挿入するとインピーダンスはどうなる?

ルウェルナ

入力に外部抵抗を付加してみましょう

figure-impedance-parallel-600and100k
ルウェルナ

600Ωと100kΩの並列合成抵抗値をRとすると、
1/R = 1/600 + 1/100K
R = 596Ω
100kΩの入力に600Ωを並列でいれた場合
VL = (596/(600+596)) ×Vo ≒ 0.498 Vo

流々星 奏

さっきの0.5Voとほとんど同じになりましたね。

ルウェルナ

0.498Vと0.5Vで、0.002Vの差。これぐらいなら誤差として無視できるレベルになります。

ルウェルナ

まとめとして、音声信号でもインピーダンスの理解が必要です。
単に接続してレベルが測定できたからいいというものではないので注意しましょう。

著者の体験談 : 音声系に乗るノイズって厄介ですよね。ですが、不平衡接続でブーンというノイズが出たのに、平衡接続にしたらピタッと収まるなんとことはざらにあります。ノイズに困ったらオーディオトランスを入れてみるのもセオリーの一つかと思います。伝送路のノイズは平衡接続もしくはトランスの挿入で大概はクリアしてきました。音声出力自体にノイズが乗っている場合(機器故障)は何ともなりませんけどね。

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日本語って同じ読みで複数の漢字があるから難しい。平衡、平行、並行、すべて”へいこう”と読みます。平衡はBalance(バランス)で釣り合い、平行はParallel(パラレル)で同じ間隔で交わらないこと、並行のはConcurrent(コンカレント)でタスクなど同時に進行する場合に使います。日本人だから日本語で理解したい所もあるけれど、英語のほうが分かりやすいかもですね。不平衡よりUnbalance(アンバランス)のほうが直感的に分かりやすいと思います。

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