通話用無線機 送信系の測定 Part1(送信出力・周波数偏差・偏移)

illust-Intercom and traffic controllers
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通話用の無線機ってなにが便利なのでしょう。無線で送信した電波をチャンネルを合わせれば複数の受信機で同時に受信できます。一斉通知に便利ですね。携帯のように電話番号をダイヤルしてつなぐ必要もありません。無線機から携帯電話に置き換わった場所も多いですが、メリットがあるのでまだまだ現役で活躍している無線機。今回は保守点検でどんな内容を測定(チェック)しているのか見ていきましょう。

目次

無線機って点検(測定)が必要なの?

流々星 奏

そもそも無線機って測定が必要なんですか?

ルウェルナ

市販されている無線機の多くはライセンスフリー(免許不要)で測定が必要でないものが多いです。個人の持つ携帯電話を定期的に測定するなんてことはありませんよね。業務用でが用されている免許局では、性能を確認するために測定が行われています。定期的な免許更新の際、無線機が性能を満たしていないと免許を更新することができません。

無線機の送信出力

figure-Transmission from a radio
ルウェルナ

通話用無線機の基本的な動作を見てみましょう。マイクのボタンを押している間(プレストークという)無線機から電波が送信されます。マイクで拾った音声に応じて搬送波に変調がかかり音声が電波に乗って飛んでいきます。

figure-Radio Transmission Power
ルウェルナ

無線機の送信出力を測定する時は、無線機の出力を測定器に入力し、空中線に向けて送信される電力を測定します。測定器の入力には超えていけない定格の入力レベルがありますので、注意しましょう。間違えると測定器が故障します。

ルウェルナ

実際に空間に放出される電力は、途中のケーブルの損失、アンテナの利得、電力の反射により決まってきます。

無線機の出力と、測定器の入力レベルを確認し、定格をオーバーする場合はアッテネーター(減衰器)を挿入すること

著者の体験談 : アッテネーターを入れ忘れて無線機用の測定器を壊した、保護ヒューズ(高周波ヒューズ)を飛ばした。この分野で仕事をしている人の”あるある”かもしれません。測定器に注意のシールを貼っても、散々注意していても、それでも起きるこの事件。発生する高額の修理費。私もヒヤリハットは過去、何回かありました。くれぐれも注意してください。

周波数偏差

figure-Frequency deviation
ルウェルナ

搬送波の周波数を測定して、基準となる周波数からのズレを確認します。

ルウェルナ

電波の質(電波法 第二十八条)
送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。

流々星 奏

偏差が基準から外れていたら電波法違反になるんですね。

ルウェルナ

法律違反になりますし、搬送波の周波数がズレてしまったら受信側で正常に電波を受信できなくなります。

ルウェルナ

測定方式は様々ですが、例として単時間あたり(例えば1秒間)の波の数を
数えれば、周波数がわかります。
1秒間に1000周期のカウントなら、1000Hzです。
波を数える(カウントしている)ので、周波数を測定する機器を周波数カウンターとも呼びます。

ルウェルナ

変調がかかった状態だと、周波数が時間とともに変化するため純粋な搬送波の周波数が測定できません。ですので、この周波数偏差の測定は、無変調にて測定します。

周波数偏差は、無変調で測定する。

周波数偏移

ルウェルナ

変調方式は色々あるのですが、ここでは周波数変調を例にします。
周波数変調がかかると、搬送波の周波数が基準の周波数から変化します。
この変化量を周波数偏移と呼びます。

ルウェルナ

これはアナログ無線機の例です。最近はデジタル無線機になりましたが、アナログのほうが理屈を覚えるには分かりやすいと思います。

figure-Frequency shift keying1
ルウェルナ

音声の波は、高い声なら周波数が高い、低い声なら周波数が低い、音の強弱もあります。この変化に応じて搬送波の周波数を変化させるのが周波数変調です。

figure-Frequency shift keying2
ルウェルナ

無線機の種類に応じ、変化させてよい最大の範囲が定められています。
例) ±2.5kHz以内例) で、150MHz 搬送波 (基準)とした場合、
149.9975MHz~150.0025MHz の範囲内に偏移(変化量)が収まっている必要があります。規定値を超えてしまったらNGです。

ルウェルナ

基準となる搬送波の周波数からの変化量を見ているため、測定する場合
この搬送波の周波数を指定する必要があります。

ルウェルナ

電波の質(電波法 第二十八条)
送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び、高調波の強度等電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。

ルウェルナ

この規格値を超えたらだめという最大の偏移量を、最大周波数偏移と呼びます。

無線機 送信系の測定方法(周波数偏差・偏移など)

ルウェルナ

実際の無線機測定では、誰が行っても同じように測定結果がでる必要があります。但し通話用の無線機の場合には、人の声によって変調のかかり方が変わってしまうという問題があります。

流々星 奏

どうするんですか?

figure-Analog radio transmission
ルウェルナ

マイクで話す人の声の代わりに、発振器で人の声の代わりとなる周波数を出力します。これであれば、誰が行っても同じ条件で測定できます。合わせ、マイクのプレスボタンを押すかわりに、治具のスイッチで送信を行います。

figure-Digital radio transmission
ルウェルナ

デジタルの場合ですが、通常は人の声が1と0のデジタル信号に変換され、変調されて出力されます。こちらも人の声はそれぞれ違うため、同じデジタル信号にはなりません。ですので、外部から無線機に登録されているパターン(例 PN9)を送信します。これであれば、誰が行っても同じ条件で測定できます。

著者の体験談 : 最近はアナログの通話用無線機が珍しくなってきましたが、アナログ無線機の周波数偏移で、声の代わりで使用する発振器からの周波数の出力。いろいろな周波数を試したことはありますか? 1kHzを用いることが多いのですが、1kHzって”ピー”という結構な高音なんですよね。こんな声で普段話す人はいません。そして、1kHzで最大周波数偏移を調整後、低い周波数300Hzにしたら偏移が規格値を超えていた。なんてこともあります。無線機によって周波数の偏移は異なるので、どの周波数で偏移が最大になるかな? という探りを入れる必要がありました。最近のデジタル無線機ではそんなことをする必要もなくなりましたが、測定自体の面白みは減ってしまったように感じています。

身近なところで無線機を使用している場面を見ることはあるでしょうか。道路の交通規制で車を誘導している交通誘導員は無線機でよく通話していますね。車の誘導のやり取りを、電話して回線をつなげてから伝えていては遅いので業務に支障がでます。警察、消防、自治体、防災自主組織、民間企業etc まだまだ無線機は現役で活躍していますよ。

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