スプリアスは英語で「偽の」とか「あやまった」という意味です。本来の電波の偽物が出てきて、悪さをする。それも遠く離れた場所で。人も同じことをするのが悲しい所。オレオレ詐欺、振り込め詐欺など特殊詐欺も同じで、離れたところから他人がなりすまして悪さをする。特殊詐欺の犯人を捕まえるのは警察の仕事。スプリアスを見つけて防ぐのは技術者の仕事。
スプリアス (不要発射) Spurious
無線機から電波を飛ばした時、搬送波だけ飛んでいるかと思いきや実は不要な電波も飛んでしまっています。
・波形がひずむと高調波が発生する。(基本波の2倍、3倍、4倍・・・)
・変調によって、近接する帯域に不要波が発生する。(非高調波)
スプリアス(Spurious)とは、英語で「偽の」「あやまった」という意味。
無線の世界では「不要発射」と呼びます。


なぜ波形が歪むと余分な高調波が出るんですか?
様々な形の波形は、綺麗な波形の組み合わせで出来ています。のこぎりのような形の波形も例に漏れずです。詳しくはフーリエ変換を学ぶ必要がありますが、ここでは省略します。
電波の質(電波法 第二十八条)
送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。
ということは、スプリアスが既定値を上回って出ていたら違反ということですね。
その通りです。自分の使う周波数以外の場所に電波を放出してしまっているので、このスプリアスは非常に重要な測定項目です。


上図は、デジタル通信用の無線機にてよく使用されているARIB STD-T102の規格です。領域分けされていますが、この領域ごとに超えてはいけない基準値が異なります。


本物(基本波)だけ出てくれればよいのですが、偽物(不要波)が出てきてしまうのが無線機のやっかいな所ですね。
占有周波数帯域幅 Occupied BandWidth:OBW


空中線電力の99%が含まれる周波数の幅。単位はHzです。
帯域が意図せず広がってしまうと、隣のチャンネル(周波数)に妨害を与えてしまいます。(通信エラーなど)
隣接チャンネル漏洩電力 Adjacent Channel Leakage Power:ACP


アナログの無線機では測定項目にありません。
(単純な変調方式では、隣に漏れ出す電力が少なく占有周波数帯域幅の
みで問題なかったため)
デジタル無線機など高度(高速)な変調方式では、隣のチャンネルに漏
れ出す電力が大きくなり、規定されるようになりました。
占有周波数帯域幅と何が違うんですか?
占有周波数帯域幅は、自分の飛ばしたい周波数(チャンネル)の幅を測定しています。隣接チャンネル漏洩電力は、隣のチャンネルに漏れ出した電力を測定しています。
進行電力・反射電力 Forward power・Reflected power


無線機〜ケーブル〜アンテナ間で、インピーダンスがあっていないと、電力が反射します。
理想はインピーダンス整合がとれており、反射がおきない状態です。
進行電力と反射電力がどういうものか簡易的に計算してみましょう。


Rsが無線機出力インピーダンス、RLがアンテナのインピーダンスとイメージしてください。
回路を流れる電流は、 I = V÷(RS+ RL)
I = 20÷(50+100) ≒ 0.13A
RLに加わる電圧は、V = IR = 0.13×100 = 13.3V
RLでの消費電力は、13.3V×0.13A ≒ 1.73W
もし、RLが50Ωであれば I=0.2A、 VL=10V となり消費電力2Wで最大となります。
RLが100Ωの場合、消費電力は1.73Wでした。
不一致のため消費されなかった電力はどこに消えたのでしょう?
差分の電圧、電流が入力側に反射して戻っていきますので、これが反射電力となります。
この場合、1.73Wが進行電力、0.27Wが反射電力です。
進行電力に対する反射電力の良否は電圧定在波比VSWRにて判断するのですが、これは次の回で計算することにしましょう。
著者の体験談 : 車載型の無線機にて、60MHz帯、150MHz帯、300MHz帯の無線機据付と調整作業を行ったことがあります。アンテナをただ車にポン付けすれば電波が飛ぶだろうと思うかもしれませんが、実際にはアンテナの取り付け位置、アンテナの微調整で大きく性能が変わるのが実情です。特に60MHz帯はアンテナ調整がシビアで反射波を抑え進行電力を確保するのに苦慮した思い出があります。また、実際の進行波・反射波は個々のインピーダンスだけでなく、アンテナの周囲の障害物に多分に影響されます。近くに別のアンテナやパトライトなどがあった場合、その影響は進行波・反射波に出てきます。お客様から無線機の調子が悪い(ノイズが乗る)とのことで現地調査した所、WiFi関係のアンテナが近接する位置に新設されており、その影響(妨害)が原因と判明してアンテナ位置を移設したこともあります。使用している周波数帯域が異なるから無影響というわけではないのが無線の世界です。


世界には自分とそっくりな人は何人いるんだろう。3人って聞いたこともあるけど、理論的にはもっと存在するっていう可能性もあるらしい。どんなにそっくりでも、偽物は誰もいないはずだけど。そもそも私は本物ですか?








