電圧定在波リアルタイムシュミレーターで定在波を見てみよう。VSWR計算方法についても解説

illust-Voltage Standing Wave Simulator
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定在波ってどんな波? 漢字の意味から考えると、定位置に在(あ)る波ってことになるかな? 定位置ってことはそこから動かないっていうイメージに捉えられるけど・・。どんな波なのか、電圧定在波をシュミレーターで見てみよう。

目次

電圧定在波リアルタイムシュミレーター

電圧定在波リアルタイムシミュレーター

進行波 (Forward) 反射波 (Reflected) 合成定在波 (Total)

反射係数 Γ = 0(マッチング・インピーダンス整合)

スライダーを 0にすると、赤線の反射波が消え、黒線(合成波)が青線の進行波と完全に一致して右へ流れていきます。「エネルギーがすべて終端(例:アンテナ)に吸収され、定在波が一切発生しない理想的な状態」を表します。

反射係数 Γ = 1(端子開放・同位相反射)

スライダーを最大値の1にすると、右端(終端)で青と赤の波が常に同じ高さで重なり、右端が定在波の「腹(最大振幅が2倍になる場所)」になります。

反射係数 Γ = -1(端子短絡・逆位相反射)

スライダーを最小値の-1にすると、右端で青と赤の波が常にプラスマイナス逆になり、打ち消し合って右端が「節(振幅が常にゼロの場所)」になります。電圧がショート(短絡)でゼロになる現象です。

VSWRとはなにか

ルウェルナ

高周波信号が同軸ケーブルなどの伝送線路を通ってアンテナなどの負荷に伝わる際、インピーダンスが完全に一致(マッチング)していないと、エネルギーの一部が跳ね返って戻ってきます。これが反射波です。

ルウェルナ

「進行波」と戻ってくる「反射波」が線路の上で重なり合うと、場所ごとに電圧の強弱が固定された波(定在波:Standing Wave)が生じます。例として Γ = 1 時、合成波は移動せずに同じ場所で振幅が上下しているように見えます。

流々星 奏

だから定在波って呼ぶんですね。

ルウェルナ

この定在波の「最も電圧が高い部分(腹)」と「最も電圧が低い部分(谷)」の比率を表したものが VSWR(電圧定在波比) です。

VSWRの計算

ルウェルナ

VSWRは「電圧」の比率(進行波電圧と反射波電圧の振幅)から計算されますが、与えられている値は「電力」です。電力 は電圧 の2乗に比例するため、まずは電力から電圧反射係数(Γ : ガンマ)を求め、そこからVSWRを計算します。

ルウェルナ

10Wの無線機を想定し、進行波の電力が 9.6W、反射波の電力が 0.4Wである場合のVSWR(電圧定在波比:Voltage Standing Wave Ratio)の計算をしてみましょう。

1:電圧反射係数 Γの計算

ルウェルナ

電圧反射係数 Γの絶対値は、進行波電力Pf(Forward power)と反射波電力 Pr(Reflected power)を用いて以下の数式で表されます。

Γ=PrPf\Gamma = \sqrt{\frac{P_r}{P_f}}
Γ=0.4 W9.6 W=124=124≈0.2041\Gamma = \sqrt{\frac{0.4\text{ W}}{9.6\text{ W}}} = \sqrt{\frac{1}{24}} = \frac{1}{\sqrt{24}} \approx 0.2041

2 : VSWRの計算

ルウェルナ

VSWRは、電圧反射係数 Γ を用いて以下の公式で計算できます。

VSWR=1+Γ1−Γ\text{VSWR} = \frac{1 + \Gamma}{1 - \Gamma}
ルウェルナ

求めた Γ = 0.2041 を代入します。

VSWR=1+0.20411−0.2041=1.20410.7959≈1.513\text{VSWR} = \frac{1 + 0.2041}{1 - 0.2041} = \frac{1.2041}{0.7959} \approx 1.513
ルウェルナ

VSWRは約1.5になりました。
Γを用いずに次のように一気に計算してしまっても良いですよ。

VSWR=1+PrPf1−PrPf\text{VSWR} = \frac{1 + \sqrt{\frac{P_r}{P_f}}}{1 - \sqrt{\frac{P_r}{P_f}}}
ルウェルナ

理想的な状態(反射ゼロ): VSWR = 1.0(すべてのエネルギーが負荷に吸収される)

ルウェルナ

最悪の状態(全反射): VSWR = ∞(エネルギーがすべて戻ってくる)

流々星 奏

負荷がアンテナの場合、全反射だと全くアンテナから電波が飛んでいないってことですか?

ルウェルナ

その通りです。例えば途中のケーブルの断線が発生した場合には全反射になる可能性がありますので注意が必要です。

なぜ電力は電圧の「2乗」に比例するのか?

ルウェルナ

補足ですが、電力は電圧の2乗に比例します。オームの法則より

P=V2RP = \frac{V^2}{R}
ルウェルナ

伝送線路の特性インピーダンスを Z0とすると

Pf=Vf2Z0,Pr=Vr2Z0P_f = \frac{V_f^2}{Z_0}, \quad P_r = \frac{V_r^2}{Z_0}
ルウェルナ

ここで、両者の電力の比(電力反射率)を取ると、分母の Z0 が相殺されて、電圧Vが残ります。

PrPf=Vr2Z0Vf2Z0=(VrVf)2\frac{P_r}{P_f} = \frac{\frac{V_r^2}{Z_0}}{\frac{V_f^2}{Z_0}} = \left(\frac{V_r}{V_f}\right)^2
Γ=VrVf\Gamma = \frac{V_r}{V_f}
PrPf=|Γ|2\frac{P_r}{P_f} = |\Gamma|^2
Γ=PrPf\Gamma = \sqrt{\frac{P_r}{P_f}}

著者の体験談 : VSWRは1.5以下であれば満足できるといえます。(国土交通省の通話用の車載・携帯型無線機の基準は1.5以内)反射電力はインピーダンスは飛ばす電波の周波数によっても変わってきます。アンテナは固定長の為、ch1で反射がほぼなしでも、周波数が離れたch10にしたら反射が0.4Wということはざらにあります。車庫の中で測定したら反射電力NGで車庫の外に出したらOK、アンテナエレメントの先端キャップの位置をちょっとかえたらOKなど、実際のところは結構細かな条件により数値はいくらでも変わってきてしまいます。車載型無線機での全反射の経験は過去1回だけありましたが、そうそうあるものではないのでちょっとドキドキ(本当に全反射か? 自分の測定が間違ってないか? )してしまったのを覚えています。結果的には同軸ケーブルが途中で潰れてショートしていたことが原因でした。車載型の無線機は途中のケーブル、アンテナまで含めたセットの製品です。無線機がよくても途中や末端がNGなら全く使い物にならない製品ですので、そういった意識は必要だと思います。

illust-My wife's angry face

電力が伝えたい相手に伝わらずに反射して戻ってくる。100%伝わるのが理想だけど・・。人の言葉も同じで伝わったと思っていても実はかなり反射して戻ってきているのかもしれない。人は測定器じゃないからどれだけ反射してきているのかは数値ではわからない。夫婦喧嘩とかもそうかもね。いやこちらの伝えた電力が何倍にもなって戻ってくることもあるような・・。

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