Sパラメータはブラックボックスに入っている。このボックスに信号を入れると、ボックスから変化した信号が出てくるんだ。信号が錯乱(さくらん)してる? じゃなくて散乱(さんらん)だよ。パラメータの値によって決められたように変化します。プログラミングをやっている人であれば”関数”と考えるとしっくりくるんじゃないかな。
Sパラメータ 物理挙動シュミレーター
Sパラメータ 物理挙動シミュレーター
発生部
接続部
この挙動シュミレータは、Sパラメータの反射や透過の動きをイメージしやすいように表したものです。
Sパラメータ Scattering parameters
Sパラメータってなんですか?
SパラメータのSはScattering、日本語で”散乱”を意味します。電子回路はフィルタやアンプなど、各ブロックで構成されますが、そのブロックに信号が入った時にどういった変化をすると思いますか?
信号が大きくなったり、フィルターで特性がかわったりするんじゃないでいか?
そうですね。ある回路ブロックに信号が入射された時、アンプのように増幅して出力したり、反射して入力に戻ったりといった挙動を示します。挙動のシュミレータを触ってもらうとイメージが掴みやすいかと思います。
Sパラメータは信号を変化させるパラメータだと思ってください。
Sパラメータは、振幅(パワー)と位相を変化させるパラメータ(位相があるので複素数になります)


- a1 : ポート1に入射した波
- b2 : ポート2から透過して出てきた波
- a2 : ポート2に入射した波
- b1 : ポート1から透過して出てきた波
- a1、b2、a2、b1はいずれも、パワー(位相あり)を表す。


例として、S21のパラメータは、信号を2倍にして、位相を90°ずらすといった具合で、この場合は信号を大きくするので増幅ですね。ボックスの中で信号が変化するイメージです。
覚え方としては、Sの数字はポート番号を表し、S21であれば、2に1が進む(透過)、S11であれば1に1が進む(反射)といった覚え方がわかりやすいと思います。
これはb1、b2出力を表した式です。b1であれば上図の矢印にて、S11とS12の合成されたものが出力されています。計算式もそのようになっていますね。
各ポートで反射がない条件の時、計算式は簡略化できます。
例えばa1に入射した波でa2の反射がない場合、b2 = S21×a1となり、変形させると下表の式になります。
なかなか難しいけど、図で覚えてしまったほうが分かりやすい気がします。
| パラメータ | 物理的な意味 | 計算式 | 条件 |
| S11(反射) | ポート1の入力反射係数 | S11 = b1 / a1 | a2 = (ポート2を無反射終端) |
|---|---|---|---|
| S21(透過) | ポート1から2への順方向透過係数 | S21 = b2 / a1 | a2 = (ポート2を無反射終端) |
| S22(反射) | ポート2の出力反射係数 | S22 = b2 / a2 | a1 = (ポート1を無反射終端) |
| S12(透過) | ポート2から1への逆方向透過係数 | S12 = b1 / a2 | a1 = (ポート1を無反射終端) |
著者の体験談 : 昔の話ですが、基板のパターンアンテナを作ってテストしたい。そこでまず上述のSパラメータはなんぞや?というところから初めて、その後にベクトルネットワーク・アナライザ(VNA)をレンタルしてテストしたことがあります・・・レンタル費用が、かなり高額でしたね。いまや1万円を切る価格でVNAがAmazonで購入できてしまう。車載局の設置を行うこともありましたが、業務上はシグナルアナライザ(発振器とスペアナ)と方向性結合器があるので、アンテナのマッチングは確認できました。でも車載型の無線機ではアンテナの設置場所に左右されるので、アンテナ単品でマッチングが取れていたとしても車に設置した時にマッチングがとれるとは限らないんですよね(特に60MHzといった低めの周波数で)。アンテナ長をカット&トライで合わせていくのですが、カットしすぎたら当然、元に戻せないのでドキドキしましたね。
ブラックボックスって中身を知らなくても(見えなくても)、箱の中に入れれば中身が変化して出てくる便利な箱。でも”ブラックボックス”ってビジネスではあまり良い意ない気がしますね。それは本当に中身が見えないから。秘密裏に知らない所で事が進んでいたり、なんの情報共有もなく方針が変化したり。そう思うとSパラメータはどんなふうに変化するか示してくれているので、実際はブラックでなくてホワイトなのかもね。








