電子部品のインダクタにコンデンサ、電気通信の分野に携わらないと耳にもしない言葉達。身近な電気・電子関連の製品には必ず使われている部品です。例えば、コンデンサは電気のエネルギーを蓄えることができます。電気は目に見えないのでイメージがつきづらいのですが、水を貯めるように電気が容器に溜まっていくイメージはいかがでしょうか?
最新の測定器は自動測定ができる…でも
前回、電波の質について学んだんですけど、実際はどうやって測定するんですか?
このような測定器があります。
- 電力計(パワーメータ)
- 周波数カウンター
- FM直線検波器
- スペクトラム・アナライザ
これらは、FM無線機の場合の例ですが、空中線電力は電力計、周波数偏差は周波数カウンター、最大周波数偏移は直線検波器、スプリアスはスペクトラム・アナライザを用いて測定します。
実際の所、最近の測定器はオールインワン(例:シグナルアナライザ)です。色々な測定機能を搭載して、自動測定機能を用いれば簡単に測定を完了できます。(ボタン操作だけ覚えれば正直誰でも測定できます) でも、そもそも何を測定しているかを把握しなくても測定が出来てしまうという弊害もあります。
自動測定で終わるなら便利でいいのでは?
自動測定など、技術の進歩は積極的に利用すれば良いと思います。
でも、測定器が変わったら測定できますか?
(測定器のボタンの位置、押す順番で覚えているという人)
新しい測定器や無線機に変わったら測定できますか?
無線機に不具合があった場合に詳細を確認できますか?
・・何を測定しているかわからないままだと対処できませんね。
ですよね。目的をしっかりと把握することが重要になります。測定器や無線機では50Ωという数値がでてきます。これはインピーダンスの値です。この分野を学ぶ上で避けて通れないものですので、まずこのインピーダンスと電子部品のインダクタ(コイル)、コンデサについて説明します。
インピーダンスについて impedance


直流と交流の電気の流れを、同じように妨げる抵抗(レジスタンス)、直流と交流で電気の流れが異なるリアクタンス。この2つを合わせたものをインピーダンスと呼びます。
インピーダンスとは、交流回路における電気抵抗の値です。交流周波数の値(高低)により、抵抗値が変わります。
1陸特など、無線工学の試験ではインピーダンスの計算問題が出てきます。電子部品のインダクタやコンデンサが何者か分からないまま、jωLとか1/jωCを用いた計算だけ出来てもどうかなと思いますので、まずは計算は後回しにしてどんなものか知ることから始めましょう。
インダクタ、コンデンサとその使用用途について
インダクタ(コイル) Inductor


インダクタは、電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄えるという働きがあり直流信号は通しやすく、高い周波数の信号は通しにくいです。
インダクタは、次のような用途で使用されています。
| チョークコイル(ノイズ除去) | 電源ラインや信号ラインにおいて、直流や低周波の必要な電流は通し、高周波の不要なノイズ成分をブロック(遮断)します。 |
| 電圧変換(DC-DCコンバータ / スイッチング電源) | スイッチのON/OFFに合わせてインダクタに磁気エネルギーを蓄えたり放出したりすることで、効率よく電圧を昇圧(または降圧)させます。スイッチング・レギュレータICと組み合わせて利用されています。 |
| フィルタ回路 | コンデンサと組み合わせることで、特定の周波数帯域の信号だけを通過させる、または遮断するフィルタ回路(ローパスフィルタなど)を構成します。 |
| LC共振回路(選局・同調) | コンデンサとインダクタを組み合わせることで、特定の周波数にだけ強く反応する回路を作り、ラジオの選局や無線通信の周波数選択に利用します。 |
| トランス(変圧器・絶縁)※2つ以上のコイルを組み合わせたもの | 電磁誘導を利用して、交流の電圧を変換(6600Vから200Vなど)したり、回路間を電気的に絶縁した状態で信号を伝達したりします。 |
コンデンサ Capacitor


コンデンサは、電気エネルギー(電荷)を蓄える働きがあり、エネルギーを蓄えたり放出したりできます。
直流信号は通さず、高い周波数の信号は通しやすいです。
コンデンサは、次のような用途で使用されています。
| デカップリング(バイパスコンデンサ / パスコン) | ICなどの電源ラインに配置し、高周波のノイズをグランドに逃がしたり、急激な電流変化時の電圧降下を防いで回路の動作を安定させます。 |
| 平滑回路(整流・電源の安定化) | AC-DCコンバータなどで、交流を整流した後の波形を、電気を充放電することでなだらかな直流に変換します。 |
| カップリング(直流カット・交流信号の伝達) | 音声回路などで、前のステージの直流成分を遮断し、必要な交流信号(音声信号など)だけを次の回路に伝えます。(コンデンサマイクを動かすために直流電圧を加え、必要な音声信号はコンデンサを経由して取り出すなど) |
| フィルタ回路 | 抵抗やインダクタと組み合わせることで、特定の周波数成分(ノイズなど)をカットし、必要な信号だけを取り出します。 |
| 時間定数回路(タイマー・発振) | 抵抗と組み合わせることで、充電・放電にかかる時間を制御し、タイマー回路や一定の周期で波形を作る発振回路に利用します。 |
| エネルギー蓄積(バックアップ電源) | スーパーキャパシタなどは、瞬停時のデータバックアップ用電源や、機器の補助電源として大電流を一時的に蓄えたりします。 |
コンデンサやインダクタを通ると位相がずれる
不思議ですが、交流では交流では電圧と電流の波がずれるという現象が
発生します。(位相がずれると言います。位相とは、周期的に変動する波の位置情報を示したものです)


コンデンサ(記号 : C)通ると、交流電流 (記号 : I)の位相が交流電圧 (記号 : E)より90°進む。→ICE (アイス)と覚えます。
インダクタ(記号 : L)を通ると、交流電圧 (記号 : E)の位相が交流電流 (記号 : I)より90°進みます。→ ELI (エリィ)と覚えます。
抵抗(記号:R)は位相はずれません。(ただしこれは理論的なもので
実際は抵抗や信号のライン自体にコンデンサ、インダクタ成分が出てきます)
位相がずれると何か問題があるんですか?
分かりやすい例として、まずは電力について考えてみましょう。
電力は、電力(W) = 電圧(V) × 電流(A)で表されます。
家庭で使う機器は、電力(W)が必要です。
極端な例ですが、位相がずれて電圧が100Vあっても電流が0.01Aしか流せなかったら? 100V×0.01A = 1Wです。これでは電子レンジなど600Wや700Wといった機器は電力(エネルギー)不足で動作しません。波形的には電圧と電流の波形がぴったりと一致したときに電力が最大になります。
位相ってとっても大事なんですね。


電気・電子機器には多くの部品が使われているんだよ。マイコン、IC、抵抗、コンデンサ、インダクタ、etc。僕達が、互いに手を繋いで協力しあって、便利な機能を生み出しているんだ。僕達コンデンサやインダクタが何を行っているかを知ってもらえたら嬉しいな。








